槍ヶ岳 登山記 東鎌尾根ルート【前編】 音と光の大共演!?
長野県、北アルプスにある槍ヶ岳(3,180m)。
日本で5番目に高い山(1位 富士山 3,776m、2位 北岳 3,193m、3位 奥穂高岳 3,190m & 間ノ岳 3,190m)、
そして北アルプス内では奥穂高岳(3,190m)に次いで2番目に高い山です。
まさに槍のような鋭い形をした山頂部が特徴的で、北アルプス南部のシンボル的な存在になっています。
今回は北アルプス登山のおススメスポットとして槍ヶ岳を東鎌尾根経由で登るルートや装備の紹介、そしてちょっぴり楽しい登山記をお伝えします!
槍ヶ岳 登山情報
山名:槍ヶ岳(やりがたけ)
標高 3,180m
場所:長野県 松本市、大町市 岐阜県 高山市
ルート:上高地から2泊3日 東鎌尾根コース
〜 槍ヶ岳山荘 〜 坊主岩小屋 〜 天狗原分岐 〜 大曲分岐 〜 槍沢ロッヂ 〜 横尾 ~ 徳沢 〜 上高地
下図の赤線沿いのルートです。(スマホで見る場合は横向きにして下さい)
コースタイム:
1日目 4時間50分: 上高地バスターミナル(1時間)→ 明神(1時間)→ 徳沢(1時間10分)→ 横尾(1時間40分)→ 槍沢ロッヂ(小屋泊)
2日目 7時間10分: 槍沢ロッヂ(1時間40分)→ 大曲分岐(1時間30分)→ 水俣乗越(2時間10分)→ ヒュッテ大槍(50分) → 槍ヶ岳山荘(30分)→ 槍ヶ岳山頂(30分) → 槍ヶ岳山荘
3日目 8時間00分:槍ヶ岳山荘(40分)→ 坊主岩小屋(1時間)→ 天狗原分岐(50分)→ 大曲分岐(1時間)→ 槍沢ロッヂ(1時間20分)→ 横尾(1時間10分)→ 徳沢(1時間)→ 明神(1時間)→ 上高地
※山と高原地図のコースタイムを記載
難易度: ★★★★☆
信州山のグレーディングでは8Cとなっています。
数字は体力度を表し、1〜10まであり、槍ヶ岳の8は2〜3泊以上が必要な行程。
英字は技術度を表し、A~Eまであり、槍ヶ岳のCは以下のような状況です。
・ハシゴ・くさり場、また、場所により雪渓や渡渉箇所がある。
・ミスをすると転落・滑落などの事故になる場所がある。
・案内標識が不十分な箇所も含まれる。
実際に登山した経験からすると、登山者の多い北アルプスだけあって道標はしっかりとしており、道迷いの心配は少ないです。
頂上の槍の穂先に登るには鎖場や垂直に近いハシゴが出てくるため、鎖場やハシゴでの経験があったほうが良いです。
初心者だけのパーティーや高所恐怖症の方には少々ツラいかも・・・
そのため、難易度は5段階表示で4としました。
おすすめ度:★★★★★
槍ヶ岳と言えば、登山をしない人でも知っているというそのシルエットが有名。
「槍ヶ岳に登ってきたよ。」と友達に言えば、「えっ?本当?すごいじゃん!」というリアクションを得られるでしょう。
槍ヶ岳頂上直下にある槍ヶ岳山荘に泊まれば圧巻の日の出が見られます。
登山をするなら是非一度この景色を見て下さい!というくらい感動します!
槍ヶ岳 登山口へのアクセス
槍ヶ岳に登るには複数のルートがありますが、今回紹介するのは上高地から槍沢→東鎌尾根経由で登るルート。
上高地はマイカー規制されているため、関西・名古屋方面から車で行く場合は平湯温泉のあかんだな駐車場まで行き、そこからバスに乗り換えます。
あかんだな駐車場について詳しくは別記事で紹介しています。
関東方面から行く場合は沢渡(さわんど)駐車場に駐車すると良いです。
詳細は上高地公式HPを参考にして下さい。
登山データ
日時
2018年9月22日(土)〜24日(祝)
メンバー:
y-hey: 39歳(男)
このブログ「登っちゃえば?」を書いている人。山登り歴は13年。
キリマンジャロ(5,895m)登頂、アコンカグア5000mまで到達した経験から高山病に対する知識は豊富。
ドMなのでテント泊+カメラ機材の25kgの荷物を背負って山に登ることに喜びを感じている(笑)
詳しいプロフィールを一応見てみる
Uさん: 43歳(男)
y-heyの影響で2016年から登山にハマり、
y-heyと一緒に北アルプスの焼岳、燕岳・大天井岳・常念岳縦走や南アルプス白峰三山縦走を楽しんでいる。
9月下旬 登山時の服装、主な装備
上半身
ベースレイヤー: キャプリーン・デイリー(旧キャプリーン1)、monbell ジオライン ミドルウェイト
アウターシェル: (アークテリクス) ARC’TERYX『Alpha SL Jacket』(Black)
防寒着: ミレー ダウンジャケット(予備としてザックに収納)
下半身
ベースレイヤー: SKINS(スキンズ)コンプレッションタイツ
アウターシェル: (アークテリクス)ARC’TERYX Alpha Pants
登山靴: スカルパ キネシスプロ GTX
ザック
カメラ類 (三脚だけで2.4kg・・・ 特に雲台が重い・・・)
カメラ本体:Canon EOS 5DsR
標準ズームレンズ: EF24-70mm F2.8L II USM
望遠ズームレンズ: EF70-300mm F4-5.6L IS USM
三脚: GITZO マウンテニア 2型 カーボン 4段 GT2542
雲台: GITZO 3Way雲台 ロープロファイル 2型 クイックリリースプレート付属 G2272M
ここからは実際に登った時の登山記をお伝えしますので、あなたが槍ヶ岳に登山される際の参考にして下さい!
y-hey
2018年9月22日 槍ヶ岳 登山記 1日目
登山口 上高地まで
登山前日の夜は子供達を学童保育や保育園に迎えに行って、せっせと妻のご機嫌ポイントを稼いでいたため
登山準備が結構ギリギリになってしまったが、今回はUさんが当日に大阪→名古屋へ始発の新幹線で移動して来るため
ゆっくりスタートでAM7時前に名古屋駅を車で出発!
Uさんを車に乗せると、彼は大阪からの新幹線内で山ガールと席が隣りになって、楽しそうにお喋りしてきたらしい。
こっちは3日間家を空けるため、
子供達の世話、ごめんね。よろしくおねがいします。
y-hey
と言って、妻にペコペコ頭を下げて逃げるように家を出てきた時に、Uさんは山ガールとお喋りか・・・
う、羨ましすぎる・・・
この日は午前中は雨で、午後から晴れる予報のため、それに合わせるようにゆっくり移動です。
登山口である上高地へ行くバスに乗るため、平湯温泉のあかんだな駐車場まで3時間の運転。
まだまだしっとりと雨が降っている平湯温泉 あかんだな駐車場に到着し、
ここからバスチケットを購入して上高地まで移動します。
雨の休日の午前中は道路も空いていたせいか、予定より1本前のAM10時20分発のバスに乗れました。
バスに乗って30分後、上高地バスターミナルに到着。
ここで登山届を提出。
ちなみに登山届の書き方については別記事で解説しています。
▶登山届(登山計画書)とは?書き方や記入例、エクセルのフォーマットも紹介
河童橋のかかる梓川は今までの雨でしっかりと増水していました。
実は今回の槍ヶ岳登山は、新穂高温泉が登山口の飛騨沢コースから登ろうとしていましたが、
前日までの雨で滝谷の渡渉(としょう、川を渡ること)部分が通行不能になってしまったため、急遽槍沢コースに変更しました。
もし飛騨沢コースからの登山を検討している方は槍平小屋のブログやTwitterで滝谷や登山道の状況をチェックしてから登山開始すると良いです。
上高地 〜 明神 〜 徳沢 〜 横尾
上高地から明神、徳沢、横尾まで、まずは平坦な道を歩きます。
コースタイム約3時間の、気持ちいい森林ウォーキングの開始。
明神に着く手前には、晴れ間も覗いてきました!
まずは明神に到着。まだ旅は始まったばかり。
そしてさらに進むと徳沢へ到着。このテント場にテント張ると気持ちいいんですよねー!
徳沢は以前は牧場だったせいか、どこか牧歌的な雰囲気が漂います。
ここでベンチに腰を下ろし、コンビニで買ったパンなどのランチ。
今回は山小屋泊だし、軽量化のためバーナーやコッヘルは家に置いてきたので食事は簡素。
腹ごしらえをした後は、徳沢から横尾への道を進みます。
途中でいい感じの沢も出てきました。
横尾に到着。昼休憩込みで上高地から3時間でした。やはり小屋泊装備だとテント泊装備に比べて軽いからいい感じ♪
横尾 〜 槍沢ロッヂ(ロッジ)
横尾から先は道幅も狭くなり、ちょっぴり登山道っぽい道になります。
一ノ俣という沢を渡ります。
一ノ俣の先にある二ノ俣の橋の木々は紅葉気味。あと1週間遅い9月の最終週だと紅葉のピークなんだろうなぁ。
二ノ俣を渡った所でしばし休憩。
さらに少し進むと本日の宿泊先である槍沢ロッヂ(ロッジ)に到着。
お昼休憩込みで上高地から5時間でした。地図記載のコースタイムが4時間50分なのでちょっと速いペース。
今回は小屋泊ということで荷物を軽量化し、カメラ機材込で13kgしか無いため、結構楽でした。
前回の蝶ヶ岳の時はテント泊装備で食材も持っていったら25kgになったからなぁ・・・
y-hey
槍沢ロッヂ(ロッジ)で音と光の大共演
槍沢ロッヂに到着後は荷物を部屋に置いて、玄関のホールの机で乾杯!
スーパードライ350mlは槍沢ロッヂの自販機で500円でした。
今日も1日お疲れ様です。(とはいえ1日目はたいして登ってないので結構余裕がある)
ちなみにこんな雰囲気の槍沢ロッヂについては別記事で詳しく紹介してます。
酔っ払った後は食事を済ませ、後は寝るだけ、と思った2人を待っていたのは音と光の大共演でした。
まずは音。
廊下からすごいイビキが聞こえてきたので、一体どこの部屋か?と思ったら、
同じ部屋のおっさんが「ゴォォォー」っと、地鳴りのようなイビキをしていました・・・
こ、これはいびき対策グッズとして持ってきた耳栓を貫通してくるほどの音!
y-hey
そして第2の攻撃は光!
20時30分の消灯後(翌日4時くらいに早起きして行動開始するため山の夜は早いのです)
も常夜灯が点いているのだが、なんと隣のUさんの目元を直撃する位置にスポット照射!
たまらず逆向きに寝るUさんだが、そうすると、さっきのイビキおやじに顔が近づくことになり
まさに音と光の大共演!
このような楽しい状態のため、我々の睡眠はかなり妨げられ横になったまま、ほぼ覚醒状態で朝を迎えることになりました・・・
2018年9月23日 槍ヶ岳 登山記 2日目
槍沢ロッヂ 〜 大曲
前夜からの音と光の大共演により、ほぼ寝れない状態でAM4時30分起床。ツ、ツラいです・・・
朝食は5時からのため、少しでも早く行こうということで、前日にお弁当を頼んでいたのでそれを持って出発!
最初に目指すのは東鎌尾根まで登る分岐点となる大曲(おおまがり)。
出発して30分程行くと、テント場のババ平が見えてきました。
9月の3連休だけあって、テント場は満杯でした。
道を振り返れば見事なU字谷となっている槍沢を見ることができる道を進みます。
大曲に到着。
ここで休憩がてら槍沢ロッヂでもらったお弁当を食べました。
酢飯になっていて美味しい!
大曲 〜 水俣乗越
大曲からは通常は槍沢ルートを進むのですが、今回は東鎌尾根から行くルートのため、
まずは水俣乗越までの急登を登ります。
途中、紅葉が綺麗な場所もありました。
登っている途中で日差しが出てきました。
日差しが差し込む中での急登のため、結構汗をかきつつも、水俣乗越に到着。
行く先には東鎌尾根が待ち構えます。
ここで一緒になったのは、小学3年生でなんと百名山を踏破してしまうという少女!
うちの長男も同い年ですが、こんなルートは怖がって来ないというのに、すごいなぁ・・・
y-hey
槍ヶ岳で百名山目だそうです。おめでとうございます!
東鎌尾根(水俣乗越 〜 ヒュッテ大槍)
ここから東鎌尾根が始まります。
ストックはしまってザックに装着し、両手で掴まれる状態にしてスタート。
ちなみに東鎌尾根はヘルメット着用推奨エリアです。
y-heyもヘルメットは持っているけど、東鎌尾根から行くのは1日目の夜に決まったため、家に置いてくるというイタい状態・・・
細心の注意を払って進みます。
しばらく進むとついに槍ヶ岳が見えた!
テンション上げめで写真を撮ります!
写真を撮ってくれた方が年賀状用の小道具を貸してくれました(笑)
ハシゴを越えると、
長いハシゴがお出迎え!こんなのよくここに設置したなぁーと関心しつつ進みます。
下から見るとこんな感じです。
降りた後で横から見るとこんな感じ。人の大きさと比べるとハシゴが長いのが分かります。
結構な高度感があります。
槍ヶ岳と北鎌尾根も一層近づいてきました!
大喰岳や中岳のほうにはいわし雲が出てきました。
槍ヶ岳はあと少し!
前穂高岳も見えます。紅葉とのコントラストが気持ちいですね。
そしてなんとか、東鎌尾根を越えてヒュッテ大槍に到着!
時間は10時20分。ここでお腹が空いたので早めの昼食を食べようとしたら、
なんとヒュッテ大槍のランチタイムは11時から・・・
ということでUさんが持っていたカップラーメンをいただきました。ありがたいです。
ヒュッテ大槍 〜 槍ヶ岳山荘
ヒュッテ大槍から先は、もう槍ヶ岳が迫ってくる迫力が凄いです。
こーんな槍や、
あーんな槍まで、写真撮り放題!
と写真を撮りながら進んでいると、もう槍ヶ岳山荘は目の前に!
そして無事に2日目の宿である槍ヶ岳山荘に到着!
ここから槍の頂上である穂先に登ります!
〜次回、後編に続く〜
現在募集中のツアーは↓です!
みなさんとお会いできるのを楽しみにしています(^o^)