穂高連峰(前穂高岳・奥穂高岳)縦走 登山コースガイドと登山レポート
日本列島の中央にある北アルプス(飛騨山脈)南部にある穂高連峰(読み方:ほたかれんぽう)は登山者にとって憧れの山々。上高地からその雄姿を望むことができます。
穂高岳は奥穂高岳(3,190m)、涸沢岳(3,110m)、北穂高岳(3,106m)、前穂高岳(3,090m)、西穂高岳(2,909m)、明神岳(2,931m)などの峰々からなる穂高連峰の総称のことを言います。
今回は2泊3日で穂高連峰(前穂高岳・奥穂高岳)をガイドしてきたため
穂高岳(穂高連峰)の登山情報、コースガイド、地図、ツアーレポートをお伝えします。
穂高岳(穂高連峰) 登山情報
山名/標高:
- 奥穂高岳(3,190m)北アルプス最高峰、日本第3位の高峰。山頂には日本アルプスの総鎮守・穂髙神社の嶺宮が祀られている。
- 北穂高岳(3,106m)穂高連峰の最も北に位置する厳しい難所。西側には滝谷の岩場が剥きだしている。
- 前穂高岳(3,090m)奥穂高岳と吊尾根で結ばれた岩と雪の急峻な峰。前穂東壁は「ナイロンザイル事件」の舞台。
- 西穂高岳(2,909m)穂高連峰の西端に位置する険しい岩場の大きな山体。河童橋からは稜線の左端に見える。
- 涸沢岳(3,110m)涸沢槍をを従えた端整な三角錐の山容を持つ。北穂高岳からの縦走路は険路。
- 明神岳(2,931m)穂高連峰の東端に位置し、河童橋からは稜線の右端に見える。
場所:
- 長野県松本市、岐阜県高山市
穂高連峰 縦走のコース
- 前穂高岳・奥穂高岳 縦走コース 登り利用 下り利用
前穂高岳、奥穂高岳のみを2泊3日で縦走するコース。
上高地から岳沢に入り、岳沢小屋で1泊。
2日目は重太郎新道を経て前穂高岳へ登頂後、吊尾根経由で奥穂高岳へ。穂高岳山荘に宿泊。
3日目はザイテングラートを通って涸沢へ下り、横尾〜徳沢〜明神〜上高地と帰るルート。
コースタイム(往復): 1日目 2時間30分、 2日目 7時間20分、 3日目 9時間
登山口からの累積標高差:上り 2,301m 下り 2,284m
- 北穂高岳・涸沢岳・奥穂高岳・前穂高岳 縦走コース 人気コース
穂高連峰の主峰をガッツリ縦走する、難易度も高いは歯ごたえのあるコース。
1日目は上高地から涸沢へ移動。
2日目は涸沢を出発し、南陵から北穂高岳を登頂。その後、涸沢槍の危険箇所が続くルート、
涸沢岳を越えて穂高岳山荘へ宿泊。
3日目は奥穂高岳、吊尾根を通って前穂高岳へ登頂したら重太郎新道と岳沢経由で上高地へ下山。
コースタイム(往復): 1日目 6時間10分、 2日目 5時間50分、3日目 7時間10分
登山口からの累積標高差:上り 1,683m 下り 1,685m
所要時間
前穂高岳・奥穂高岳 縦走コース: 18時間50分(休憩含まず、往復の場合)
1日目:上高地バスターミナル(1時間20分)〜 天然クーラー(1時間10分)〜 岳沢小屋(泊)
2日目:岳沢小屋(3時間)〜 紀美子平(30分)〜 前穂高岳(20分)〜 紀美子平(1時間50分)〜 奥穂高岳(30分)〜 穂高岳山荘(泊)
3日目:穂高岳山荘(2時間20分)〜 涸沢ヒュッテ(30分)〜 Sガレ(40分)〜 本谷橋(40分)〜 横尾(1時間)〜 徳沢(1時間)〜 明神(1時間)〜 上高地バスターミナル
※山と高原地図のコースタイムを記載
下図の紫線沿いのルートです。
穂高連峰縦走の難易度
前穂高岳・奥穂高岳 縦走コース:★★★★★
高度感のあるルートを進む重太郎新道、吊尾根、前穂高岳への登りは高所恐怖症の方は不可です。
途中で撤退する時のエスケープルートは無いため、高い所が苦手な方は涸沢から奥穂高岳のみ登頂するコースがオススメです。
また、穂高連峰は3,000m級の山なので以下の点に注意して下さい。
- 高山病対策のためゆっくり登る
- 防寒着の携帯
- 重太郎新道、吊尾根、紀美子平〜前穂高岳間は高度感があるため滑落に注意
- 岩場はガレているため落石を起こさないよう注意
おすすめ度:★★★★★
難易度の高いコースですが、吊尾根を渡りきり奥穂高岳へ登頂した時の達成感はハンパないです。
奥穂高岳山頂付近から前穂高岳を見下ろす
夕日に染まるジャンダルム
穂高連峰縦走 登山口へのアクセス
穂高連峰縦走の登山口は観光地としても有名な上高地です。上高地までのアクセス方法は別記事で詳しく書いてます。
関東・東京方面からのアクセスは沢渡経由
▶上高地へのアクセス拠点 沢渡(さわんど)駐車場・バスターミナルの紹介
関西・大阪・名古屋方面からのアクセスは平湯経由
登山データ
日時
2020年9月30日(水)〜 10月2日(金)
メンバー:
上田洋平(y-hey):写真も撮れる登山ガイド
このブログ「登っちゃえば?」を書いている「写真も撮れる登山ガイド」。
日本山岳ガイド協会 認定登山ガイド かながわ山岳ガイド協会所属
山登り歴は15年以上、一眼レフ歴は10年以上でキリマンジャロ(5,895m)登頂、アコンカグア5,000mまで到達した時も一眼レフカメラはしっかりと持って登っている。
ドMなので山小屋泊なのにカメラ機材入れると25kgになる荷物を背負って山に登ることに喜びを感じている。
長友あづささんと仲間達
今回参加してくれたメンバーの長友あづささんは(株)LIFE ON THE PLANET代表でYoutuber、コンサルタント等、
様々な収入の柱を持ち、YouTubeのよくばり主婦チャンネルは登録者数約3万人というすごい方です。
平日朝は元気がでる内容のLIVE配信をされているので、y-heyもたまに拝見させてもらってます。
ここからは実際に登った登山記をお伝えしますので、あなたが登山される際の参考にして下さい!
y-hey
穂高連峰縦走 登山記 1日目 2020年9月30日(水)
登山口の上高地へ
今回の行程の初日は上高地から岳沢小屋まで行くだけ(コースタイム 2時間30分)なので、
朝7時に神奈川の辻堂駅に集合し車で出発。
さわんどバスターミナルへ到着後は4人なので上高地バスターミナルまでタクシーで行くことに。
割り勘したらバスより安いくらいです。好きな時間に出発できるし。
上高地に到着後はお昼だったので上高地食堂で定食を。
腹ごしらえをした後は河童橋を渡って岳沢登山道入り口へ向かいます。
これから登るルートを目視で確認します。右奥が前穂高岳で真ん中の稜線が吊尾根です。
透き通る水が流れる岳沢湿原から六百山が見れました。
岳沢登山口 〜 岳沢小屋
岳沢登山口から登山開始です!初日は足慣らしの2時間30分。
1時間20分ほど登ると天然クーラーに到着。ここで小休止します。
しばらく樹林帯の中をひたすら歩きます。
登山道が岳沢に面して開けると、西穂高岳を見上げることができます。
岳沢小屋
しっかり登って初日の宿、岳沢小屋に到着です!
岳沢小屋については別記事にて詳しく解説してます。
夕食はフライと唐揚げでお腹いっぱいです
y-hey
穂高連峰縦走 登山記 2日目 2020年10月1日(木)
岳沢小屋を出発
2日目は重太郎新道〜前穂高岳〜吊尾根〜奥穂高岳〜穂高岳山荘と行く、今回のコースではハイライトな1日です。
朝は奥穂高岳山頂はなんと「雪」の予報で、吊るし雲も出ていました。
後で下ってきた人に聞いたら山頂ではガッツリ降っていたそうです。
y-hey
10月初旬にしてはめづらしい降雪です。(例年は大体10月中旬くらいから降雪があります)
しっかりと装備を整えて出発です!
重太郎新道
さて、重太郎新道に入ってしばらくすると、岩場やハシゴが出てきます。
この頃はみなさん笑顔ですねー。(このあと結構大変になるのに・・・)
余裕の笑みです。
高度感のある鎖場が続きます。
このあたりを越えると、
紀美子平に到着です!
紀美子平 〜 前穂高岳
最初はみなさん笑顔でしたが、途中で結構シビアな岩場が出てきてから思ったよりペースが上がらず
前穂高岳へ登るのは時間的に厳しいと思ったのですが、メンバーの皆さんは登る気マンマンでしたので
登ることに。
暗くなるまに穂高岳山荘に着くといいなぁ・・・
y-hey
ガシガシ登って、
あと一歩ですよー!
前穂高岳、登頂おめでとうございます!
僕も撮ってもらいました。
吊尾根
紀美子平へ戻ってきましたが、この先の吊尾根を進むのに不安な方がいたのでショートロープで確保しながら進むことにしました。
吊尾根は片側が切れ落ちている道を進んでいきます。
ガスがかかる中、ガッツリ登ります。
ガスが一瞬晴れると視界が開けますね。でもガスっているほうが恐怖感は無いかも(笑)
その後も険しい岩場を登ります。
奥穂高岳
「上田さん、あと何分で着くの?」
というセリフを何度かあづささんから聞いたあと、とうとう見えてきたのが奥穂高岳山頂!
山頂の祠(ほこら)が夕日染まり、美しい・・・
なんて言ってる場合ではなく、日没で真っ暗になる前に穂高岳山荘まで下らねば!
時間は無いけど、奥穂高岳への登頂の喜びを噛み締めます!
急いでいましたが、日没に間に合わず月が出てきました(汗)
ここからヘッドライトを出して穂高岳山荘まで下りました・・・
穂高岳山荘でホットレモンを注文したあと、夕食を食べてホッと一息です。
穂高連峰縦走 登山記 3日目 2020年10月2日(金)
穂高岳山荘を出発
3日目は穂高岳山荘〜涸沢〜横尾〜徳沢〜上高地のルートです。
涸沢まで下る最初のザイテングラートのみ岩稜帯が続きますが、その後はゆるい登山道です。
朝食を食べて、出発です。
ザイテングラート
ザイテングラートは吊尾根ほどの高度感はありませんが、下りでは注意が必要です。
奥に常念山脈を見ながら下ります♪
「次はあの山!」のポーズをとってもらいました。(実際にはこの前常念岳に登ったらしいです(笑))
無事に下ったザイテングラートを見上げます。
涸沢
涸沢は紅葉が見頃でした。
僕らが通過したのは金曜日でしたが週末は一番の見頃のため、涸沢のテントもハンパない数だったと思います。
奥穂高岳、涸沢岳をバックと紅葉。
涸沢 〜 横尾
涸沢に着いたのが11時頃なので、このままだと上高地に着くのは16時過ぎになる・・・
というわけで危険箇所が無い涸沢から先はスピードアップで下ります。
Sガレや本谷橋をサクッと通過。
この日は紅葉が見頃の金曜日だったせいか、涸沢まで登る登山者の数がとんでも無く
すれ違いでかなり時間をロスしました・・・
y-hey
徳沢 〜 上高地
途中の徳沢でもちょっと休んですぐに出発。
それでも上高地に到着したのは16時30分。また日が沈み始めている・・・
ともあれ、登った前穂高岳、奥穂高岳を見つつ、上高地を後にしました。
みなさんお疲れ様でした!
y-hey
まとめ
この後はさわんどの温泉に入って焼き肉を食べて神奈川へ運転して帰りました。
家についたら深夜0時過ぎてたわ・・・ 流石に疲れました(笑)
今回紹介した穂高連峰縦走コースは上級者向けのコースとなります。
最低でも槍ヶ岳の穂先を鼻歌歌いながら登れるくらいじゃないと高度感があるので厳しいと思いますが、それだけに登った時の感動もすごいです。
しっかりと山の経験を積んだ上でチャレンジして下さい。
最後までお読み頂き本当にありがとうございました。
現在募集中のツアーは↓です!
みなさんとお会いできるのを楽しみにしています(^o^)