写真も撮れる登山ガイド 上田洋平のブログ 関東を起点として日帰りトレッキングから雪山まで、少人数のツアーを開催しています

【遭難記録②】三重 藤原岳(1,144m)登山 〜救助要請&ビバーク〜

 
藤原岳 坂本谷分岐付近3

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この記事を書いている人 - WRITER -
日本山岳ガイド協会認定登山ガイド ステージ Ⅱ 日本オートキャンプ協会公認オートキャンプ指導者 写真も撮れる登山ガイドとして 関東、富士山、日本アルプス、八ヶ岳の山々をガイドしています。 ブログでは登山、アウトドア等の記事の発信を通して 読者の方に”人生を120%楽しんでもらいたい”と考えています。 2児の父ですがマッターホルン(4,000mまで)、南米最高峰アコンカグア(5,000mまで)、アフリカ最高峰キリマンジャロをフルサイズ一眼レフカメラを抱えて登ったり(普段は自称イクメンです)空手もやってた多趣味な男です。 ブログはゆるいペースですが2005年から書き続けています。(当サイトは2015年から) 2017年11月からテレビ出演多数、2018年5月には10万PV突破、 2022年7月には執筆協力させて頂いた登山ガイド本が発売されました!
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いつも当ブログを読んでいただきありがとうございます。

アウトドアライフクリエイターのy-heyです。

 

10年以上楽しんでいる登山で人生初の“遭難”を経験した内容を

自戒の意味も込めて振り返っている2つ目の記事です。

 

前回の記事(藤原岳登頂~道迷いの始まり)↓

【遭難記録①】三重 藤原岳(1,144m)登山 〜道迷いの始まり〜

 

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登山記(遭難記)の続き

坂本谷ルート付近をさまよう

山と渓谷社地図 藤原岳

前回の記事では藤原岳からの下山ルートで

頭陀ヶ平から木和田尾ルートへ行くべき所を、

道を見失い、2016年現在閉鎖中の坂本谷ルート付近まで

来てしまいました。

 

そこから先は非常にありえない急坂を下ったりして

道が道で無いような場所に来ました。

 

もはや道ではありません。

急坂で足場の悪い樹林帯の中、

少しでも足を踏み外すと水の無い沢へ

一直線で転げ落ちる危険な場所で

前に進むことも戻ることもできなくなりました。

藤原岳 坂本谷分岐付近3

上の写真右側で相棒コアラ君が斜面に両手を使ってしがみついていますが

これは足場ももろいため、しがみつかないと滑落するためです。

 

救助要請

滑落しそうな状態になりながら一体どれくらい時間が経ったのでしょうか・・・

 

15時30分。

ここで我々は決断しました。

 

「救助要請しよう」

 

そして幸いなことに携帯電話の電波が通じたためその場で110番。

藤原岳で山登りをしていて道迷いになったことを告げました。

 

しばらくすると警察の方から折り返し連絡があり、

 

「明日の朝に救助に向かう」

 

とのこと。

 

「えっ?」

 

明日の朝は仕事でどうしても

朝一でモノを届けないといけない用事があるのに!

 

これはマズイ。行けるところまで行ってみるか。

この判断も遭難時は危険。

本来なら安全な稜線等に出て待機すべきでした)

 

と恐怖の急坂を気合いで登り切り、

坂本谷ルートに出たのでした。

 

恐怖の坂本谷ルート

藤原岳 坂本谷ルート2

土石流により2016年現在は閉鎖されている坂本谷ルート。

 

そんなことにも気づかず

とにかく先に進めば帰れると信じて進む。

 

その坂本谷ルートは落差が激しく

一度下りたら二度と登り返せないルート。

(本来は登り返せない場所は降りるべきでは無いですが

この時はただ下ろう下ろうという意識が働いていました)

藤原岳 坂本谷ルート1

とある小さな崖?を上から撮影した写真です。

 

写真ではその落差が伝わらないかもしれませんが

我々2人は決死の覚悟で進みました。

藤原岳 坂本谷ルート3

足場が悪いため何度も滑って尻餅をついたりしながら。

 

そうして出たのがダムと思われる場所。

藤原岳 坂本谷ルートのダム1

ここからはさすがに下りられず、ギブアップか?

 

と思いましたが、向かって右側には

なんと取っ手がついていて、なんとか下りれる構造になっていました。

藤原岳 坂本谷ルートのダム2

そのため、ここから先へも下りていきます。

 

ビバーク(野営)の決断

何度かそのようなダムのような場所があり

その度に端にあるハシゴや取っ手を伝って下りてきましたが

とうとう日も暮れて暗くなってきました。

 

そしてダムの下の沢沿いには

滝のようになっており、ここから先は

側面の岩場を伝っていかないといけなさそうですが

すでに辺りは真っ暗。

 

右岸の方にはロープがあったのでこれを伝って

登ればいいのか?

と思いましたが、その先にあるロープがちぎれていて

それ以上先には行けませんでした。

藤原岳 坂本谷ルート 行き止まり

 

これ以上行動するのは危険と判断し。

ここでビバーク(野営)の決断をします。

 

時刻は18時30分。

 

ここから長く、寒い夜が始まります。

 

ビバーク(野営)開始

沢から少し登った所に平らな場所を見つけ

そこをビバークする場所としました。

 

急ピッチで下ってきたため

脚にもかなり疲労の跡が伺えます。

 

そこでまずは非常食としてコアラが持っていた

パンを2人で分けて食べ、水は沢から汲んだものを飲んだ後は

持っている衣類を全部着込みました。

 

今回の登山は日帰りの予定でしたが

万が一のことを考えて

 

・エマージェンシーシート(アルミ蒸着されているシート)

・防寒着(薄手のダウンとレインウェア)

・ヘッドライト

・非常食&水

 

を持ってきていたのが幸いしました。

 

一応一通りビバークできる装備にはなっています。

 

衣類を全部着込んだ後は地面の小石を片づけて寝床を作り

ザックとタオルを枕にし

エマージェンシーシートを体に包んで寝ます。

 

とはいえ10月中旬の山の中の夜です。

超寒いです。

10°以下の体感温度でしょうか。

寒くて眠れたものじゃないです。

 

こんなことならダウンは薄手のじゃなくて

ちゃんとした冬用の温かいやつを持って来ればよかった!

10月ならエマージェンシーシートじゃなくて

ツェルト(簡易テント)のほうが良かったのでは?

 

と思いましたが今持っている装備でなんとかするしかありません。

 

相棒のコアラは自称ミートテック(脂肪とも言う)という

最新鋭テクノロジーを搭載した体を持っているため

耐寒性能は普通の人間の2倍近い

(-15℃の雪山登山テント泊をした時もダウンジャケットは不要だった)

のですが、今回は若干寒かったようです。

 

ヤマビル攻撃と熊に怯える、長い長い夜

寒いと凍えつつもしばらくすると眠気はやってくるようで

ちょっと眠っていたようです。

 

そこで口のまわりに何か違和感を得ました。

何かと思って触ってみると

 

ヌルッ

 

とした感触が!

 

それは!

 

 

ヤマビルでした!

ヤマビル

がっつり血を吸われていました!

 

10月なのに沢筋にいるせいか、まだ出てくるんですねー!

 

ヤマビルに血を吸われた痕は血が止まりません。

 

ヤマビルは吸血する時に血液を凝固させないヒルジンという成分を

注入してくるため、一度吸われると中々出血を止められないのです。

 

応急処置としてバンドエイドを貼りましたが

みるみるうちにバンドエイドに血が滲んでいきます。

 

そしてまた寝ていると

 

ポトッ

 

とくるまっているエマージェンシーシートの上に

木の枝から何か落ちてきたような気がしました。

 

「またヤマビルか!」

 

と思ってヘッドライトを点灯して確認しますが

どこにもヤマビルの姿は見当たりません。

 

しかし翌朝起きてみると

しっかりと首筋と耳から出血しておりました。

 

このようにヤマビル攻撃に悩まされつつも

他に恐れていたのが熊の存在。

 

実はビバークした場所付近に

熊のウ○コと思われる大きなやつが

ありました。

 

もし夜中に襲ってこられたら大丈夫だろうか?

やっぱり死んだふりすべきか?

 

などと考えながら横になって眠ろうとしますが

寒いし、地面は硬くて冷たいし

とても眠れたものじゃないです。

 

そして時折聞こえる

 

カサッ

 

という物音。

 

動物か何かでしょうか?

熊じゃないことを祈りつつ

また横になりました。

 

そうして悶々としながら夜は更けていきました。

 

 

~奇跡の救助編の次回へ続く~

 

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