アフリカ大陸最高峰キリマンジャロ(5,895m)登山(ロンガイルート)前編
いつも当ブログを読んでいただきありがとうございます。
写真も撮れる登山ガイドのy-heyです。
2012年12月に1人で南アフリカへ出張に行ったついでに登ってきた
アフリカ大陸最高峰キリマンジャロ(5,895m)の登山記です。
もしキリマンジャロに登ってキリマンジャロコーヒーを飲みたい!
というマニアックな方は参考にして下さい。
キリマンジャロ登山をすることになった経緯は↓の記事に書きましたが、今回から6日間に渡るキリマンジャロ登山がスタートです!
⇛アフリカ出張ついでにキリマンジャロ(5,895m)に登った理由とは?
キリマンジャロ登山のスタイル
キリマンジャロ登山にはキリマンジャロ国立公園側にてガイドを雇うことが義務付けられているため、
最低1人は雇わないといけないのですが、
通常はキリマンジャロ登山ツアーに申し込めばガイド、コック、ポーター×3人がついてきます。
y-heyは一人で申し込んだので上記の人数ですが
申し込み人数が多くなると、さらにサブガイドやウエイターがつきます。
当然荷物も増えるのでポーターの数も増えます。
というわけで重い荷物は運んで貰えるし、テントも張ってもらえる、
食事も作ってもらえるで至れりつくせりの大名登山になります。
通常、登山ではテント泊の場合、山の中で使うもの(衣・食・住)すべてを自分で用意して自分で背負って、
全部自己責任で行うのですが、今回はそういうのに比べると劇的に負担が減ります。
y-hey
尚、y-heyの選んだRongai route(ロンガイルート)はテント泊ですが、
一番ポピュラーなMarangu route(マラングルート)には山小屋があり
そこに泊まることができるので一番快適に登れます。
しかし登山客の中には半分観光気分で来ている人もいるせいか、登頂成功率は約40%のようです。
Rongai routeから登る人達の登頂成功率が80%以上なのは、ガチで登りに来る人が多いからだと思われます。
キリマンジャロ登山記
2012年12月12日(水) 登山1日目
登山1日目 移動行程
モシのホテル(約900m) → バスで移動&ランチ
→ 登山口(Nalemuru Gate, 1990m) → Simba Camp(2,625m)泊
一緒に登るメンバー
同じ日程で同じルートを登ることになったのはドイツ3人組。
写真左側から、ステファン(小)30歳、トーマス 28歳、ステファン(大)34歳です。
ステファンは2人共同じ名前のため、ブログ上では(大)、(小)で分けています。
話してみると結構いい人達でステファン(小)以外の2人は
英語も普通に話せるためコミュニケーションが取りやすかったです。
トーマスの父親は今年の8月にキリマンジャロに登ったそうで
彼は父親からもらったキリマンジャロ山の地図を持っていました。
彼にとって一番大変だった過去の登山はドイツの最高峰、ツークスピッチェを登って
帰りは登山電車で帰ろうと思ったら終電を逃して、結局下山も歩きとなり合計14時間かかったことだそうです。
またy-heyのガイドとして、ジャスティンが
ドイツ人3人組のガイドとしてダニエルがついてくれました。(なぜか穴に埋まるダニエル)
モシのホテル(約900m)
AM 6:30
出発地となるモシという町のはずれにあるSpringlands Hotelという宿からバスにて出発です。
出発前に体力をつけるため朝食はしっかり食べます。
このころはまだ食欲が十分ありました・・・ 後であんなことになるとも思わずに・・・ (遠い目)
y-hey
AM 8:00
荷物は必要なものを確認してパッキングし、
自分用のデイバッグ(35Lサイズ)とポーターに持ってもらう用の大型ザック(75Lサイズ)を準備。
水を1日2リットル以上飲むと高山病対策に良いと聞いていたため
ポーターに重量制限(15kg)ギリギリになるまで
ということで水を6リットル購入し、大型ザックに詰めます。
AM 8:30
バスを待っていると、日本でその昔日本の宿で使われていた車の払い下げ品?が到着。
y-heyが乗るバスは別のバスでしたが結構びっくりしました。
アフリカで「未知を歩こう 信州」のキャッチフレーズにお目にかかるとは思ってもいませんでしたよ。。。
y-hey
さらに待っていると、ガイドから
「一緒に登るツアー客(トーマス達)の荷物が空港から届かないため出発が遅れる」
と言われ、さらに待ちます。
バスで移動&ランチ
AM 10:30
いよいよ出発!しかし出発してすぐにバスは止まってしまいます。
どうやらドイツ人3人組の荷物が空港で見つかったようです。やったね!
しかし登山口まで届けてもらうには一人50US$を払えと要求されている
ようですが、荷物が無くては始まらないのでこれは仕方なく払うようです。
PM 1:00
お弁当形式のランチです。パン類が多くて口中がパサーッとなり、喉が乾きますがおいしかったです。
写真を撮っていたらその辺にいた人がなぜか隣に入ってきました。謎のノリですがまぁいいでしょう。
登山口(Nalemuru Gate, 1990m)
PM 2:10
登山口であるNalemuru Gateに無事到着。ここまでランチ込ですが
モシのホテルから約3時間半かかりました。
やはりマラングルートと比べるとロンガイルートは北側から攻めるので移動に時間がかかりますね。
ここで登山届を書いたり、ポーターに預ける荷物を計量したりします。
↓の写真の赤い器具が重量を測定する器具です。
登山届等の諸手続きはみんなガイドやポーターの人達が基本的にはやってくれるので
y-heyやドイツ人3人組は待っているだけです。
ちなみに待っている間にトイレに行こうと思い、個室に入ろうとしたら建付けの悪いドアでした。
やれやれ、これだからアフリカは・・・
y-hey
なーんて考えながらドアをガタガタやって力づくで開ける時、
NO—–!
という大きな声が個室の中から!
開いたドアの先にいたのは・・・・
なんとステファン(小)でした!
ほっこりタイムを邪魔してごめんね!
y-hey
彼はドイツ語しか話せないため、y-heyも「Sorry!」と簡単な英語で返すのが精一杯。
その後は気まずい雰囲気でした。
y-hey
ドラえもんでしずかちゃんのお風呂を覗いたのび太の気分でした。(実際は男のう◯こですが)
PM 3:10
手続きも終わり、いよいよ出発!
ドイツ人3人組はまだ荷物の到着を待っているので
y-heyとガイドのジャスティンのみで先に出発させてもらいます。
最初の道はまだ高度2,000mくらいですので樹林帯を歩きます。
また花もきれいなのが咲いてます。
そうやって花の写真を撮っていると、ポーターの人が重い荷物を背負った状態で進んでいきました。
さすがポーター!これは結構体力がいりそうな仕事ですね。
途中で、地元民の子供が威勢よく挨拶して来て、「こんにちは!チョコレート下さい!」とか言ってきましたが、
チョコは大型ザックに入れてしまったのよ、ごめんね、と思いつつ素通りしてしまいました。
他の登山者から何かもらえるように期待します。
Simba Camp(2,625m)
PM 5:45
本日の幕営地、Simba Camp siteに到着。
ここでポーター達がテントを張ってくれるため、しばし休憩。
あれ?こんなんで今日は終わり?楽勝じゃん!と
ちびーっとでも思ってしまいましたが、ここで焦って高度を上げると
後で高山病地獄に陥りますので、ゆっくりすぎると思えるほどゆーっくり登るのがコツです。
現地語で「ポレポレ(ゆっくり)」といいます。
そしてテントを張ってもらった後は、大型ザックから寝袋等をだして準備。
本日の移動時間は約2時間半と少ないが、時差ボケが完全に治っていないため
眠くなり、しばし横になり休憩。
PM 7:30
ポップコーンに紅茶のティータイム。
飲み物も紅茶だけでは無く、コーヒー(Africafe (アフリカフェ)というイカした名前)や
ミロ(なつかしー)とかいろいろあります。
PM 8:30
本日の夕食。現地の料理なのでよくわからんですがまずまずの味です。
PM 9:30
就寝。今日はバスでの移動も含めて高度を1,700mくらい上げたので
しっかり高度順応できるとよいですが・・・
このようにしてキリマンジャロ登山1日目は終わってゆくのでした。
2012年12月13日(木) 登山2日目
登山2日目 移動行程
Simba Camp(2,625m) → Second Cave(3,480m) → Third Cave Camp(3,935m)泊
Simba Camp(2,625m)
AM 5:45
起床。高山病に効くと言われるダイアモックスという薬を飲んでいるにもかかわらず
頭がやや重たい。やはり睡眠時は呼吸が浅くなるようです。
AM 6:30
ダウンのシュラフ(寝袋)が湿っているのを発見。。。
まだ高度が低くて気温も暑いため、シュラフカバーをしていなかったのが原因の可能性が・・・
ちなみに使っている寝袋はモンベルの#0です。
モンベル(mont-bell) 寝袋 UL.スーパースパイラル ダウンハガー 800 #0 サンライズレッド 右ジップ SURD [最低使用温度-31度] 1121204 SURD R/ZIP
ダウンは濡れると保温性が一気に落ちるため、しっかり乾かしとかないと
今夜から高度の高い所に行った際に寒い思いをすることに・・・
というわけでひたすら乾かすために紙を団扇にしたりして無駄な体力を消費。。。
装備については別記事でまとめてますのでよかったらチェックしてみて下さい。
AM 7:30
朝食。スクランブルエッグやトースト、スライストマト等です。
登山初日の夕食は自分のテントで一人で食べ、朝食も一人でテントで食べたのですが
ドイツ人パーティーのトーマスが、「一緒に食べようぜ」と誘ってくれたため
次回から一緒に↓の写真のテーブルテントで食べることに。
トーマス、いい人だね!
みんなで食べたほうが食事はおいしいもんね!
y-hey
AM 8:30
Simba Camp(2,625m)を出発!非常にゆっくりペース(現地語で”ポレポレ”と言います)で時間をかけて登る。
このようにゆーっくり登らないと後でその代償を払う羽目になります。
ちなみにまだこの辺は3,000m以下なので、花が咲いていたりして綺麗です。
↓の花はプロテアと言うらしいです。
あとの名前は不明ですが綺麗ですね。
AM 9:50
休憩。
ここで緊急事態発生!
急に超絶お腹が痛くなってしまったのです!
トイレの無い山の中でお腹が痛くなったらすることは一つ。
キジ撃ちです。(キジ撃ちの意味を知りたいかたはこちら)
この時が人生初のキジ撃ちでした。
人生初のキジ撃ちがアフリカ大陸って、なんか壮大なカンジ?www
思い返せばこのころからお腹の調子が悪くなっていったような・・・
y-hey
Second Cave(3,480m)
PM 12:45
Second Cave(3,480m)(2番めの洞窟という意味)に到着!
ここでドイツ人チームのガイド、ダニエルが穴にハマる!
洞穴に埋まっても笑顔なナイスなガイドです。
実際はこんなカンジになっています。さすが洞窟。雨の日も安心な安定感。
ここで手洗い用の水を桶に入れて渡され、食事前の手洗いを済ませた後はみんなでランチタイムです。
PM 2:00
Second Cave(3,480m)を出発し、Third Cave(3,935m)へ向かいます。
元々の計画では2日目はSecond Caveで宿泊だと思ってましたが
高度順応が順調にいっているため、Third Caveまで行ってしまうそうです。大丈夫でしょうか・・・
PM 3:30
既に森林限界を越えているため荒野のような光景が広がります。
さらに奇岩群を超えてゆきます。オーストラリアのピナクルズみたいだ。
ここに来てとうとう富士山の標高に到達しました!記念に高度計の写真を撮ってみました。
(厳密に言えば富士山は3,776mですが、y-heyの高度計は5m刻みのため3,775mと表示されております)
Third Cave Camp(3,935m)
PM 4:30
Third Cave Camp(3,935m)に無事到着。
到着と同時に小雨が降り始めました。ポレポレ(ゆっくり)ペースで登ってきたため足の疲労は無く結構順調です。
しかし高山病の頭痛の前兆のような頭の重さみたいなのは感じます。
ポーターのみなさんがテントが頑張って設営してくれて
設営完了です!
ついでにThird cave campの付近を撮影。
PM 7:30
夕食だよ~とコックに呼ばれてテーブルテントに行ったものの
全然食事が出てこず・・・
その間に星空の写真を撮りました。
アフリカ大陸のキリマンジャロから見る満点星です。
PM 9:40
就寝。高山病にならないように水分を4リットル摂ったので
たぶん大丈夫だろうと自分を納得させて寝ます。
ガイドのダニエルが言うには水を1日3リットル+紅茶等の水分1リットルで
合計4リットル飲まないといけないそうです。これは血液内の酸素の潤滑を円滑にするためのようです。
ちなみにキリマンジャロ登山や、南米最高峰アコンカグア登山で得た
高山病に対する知識を↓の記事にまとめています。
というわけで2日目の夜は更けていきます・・・おやすみなさい。
2012年12月14日(金) 登山3日目
移動行程
Third Cave Camp(3,935m) → Kibo Huts(4,700m)泊
Third Cave Camp(3,935m)
AM 5:30
起床。若干頭が重たいが頭痛とまではいかない状態。
前日に水分を4リットル摂ったのが効いたのでしょうか。
おかげで夜中に何度もトイレに起きる羽目にはなりましたが
ありがたいことに頭痛はありません!
y-hey
AM 6:30
外が明るくなったのでテントの外に出ると、テントに付いた霜が凍ってました。これは寒いわけです。
これから登る道が朝焼けに照らされて、とても綺麗な色になっていました。
また、雲海も見え、自分が既に雲の上に来ていることを実感させられます。
AM 7:40
朝食。トーストにPorigeスープ?(おかゆのようなやつですが、味は・・・ とにかく飲んでみるしかないです。)
にスクランブルエッグにソーセージ。
この時ドイツ人チームの一人、ステファン(大)が34歳の誕生日ということで
みんなでハッピーバースデーの歌を歌ってお祝いしました。おめでとうステファン(大)!
AM 8:50
Third Cave(3,935m)を出発。これより4,700mにあるKibo Huts(キボハット)を目指します。
4,000mを越えたあたりからはアルパインデザートといって
草木はあまりなく、岩と砂ばかりの殺風景な道になります。
キリマンジャロの豆知識
キリマンジャロ山には3つのピークがありまして
シラ峰(4,002m)、キボ峰(5,895m)、マウェンジ峰(5,149m)の3つの峰から成っています。
今回の登山で目指すのは当然最高点であるキボ峰(5,895m)の頂上ですが、
途中でマウェンジ峰(5,149m)が見えてきました。
このマウェンジ峰の頂上付近は切り立っていて、今では登ることは禁止されているそうです。
ガイドのダニエルの話によると、昔からマウェンジ峰登攀(とうはん、ロープ等を使って登ること)には
一般人ではとても無理なレベルの危険を伴うため国立公園側から特別な許可をとることが必要でした。
2002年頃、日本人の登山隊12人がチャレンジして
9人は登頂に成功しましたが、3人は滑落して亡くなってしまったそうです。
それ以来、キリマンジャロ国立公園側はマウェンジ峰の頂上まで行くことを禁止しており、
現在は途中までなら行けるそうです。
PM 12:00
高度4,300mを越えたあたりからやたら息苦しくなってきました。
y-hey
対策として、歩きと呼吸のリズムを
1.右足移動・左足移動 : 息を吸う
2.右足移動・左足移動 : 息を吐く
だったのを
1.右足移動 : 息を吸う
2.左足移動 : 息を吐く
に変え、さらに呼吸を深く、深呼吸するようなカンジでするように変更しました。
これが功を奏したのか、一旦はめまいの前段階までいっていたのを回復させることができました。
Kibo Huts(キボハット 4,700m)
PM 1:30
本日の宿泊地である、Kibo Huts(4,700m)に到着です。
キボハットの前でみんなで記念撮影。
PM 2:00
ランチタイムです。
このころはまだなんとか食欲がありました。(また遠い目)
y-hey
PM 4:30
ランチの後は、しばらく休憩の後、高度順応のため散歩に出かけます。
マウェンジ峰が雲に隠れつつも視界に広がります。
30分程登って一息ついて黄昏のy-hey。(こんな時でも一眼レフは持ってきてます)
この辺りで散歩は終了で、Kibo Huts(キボハット)に戻ります。
M 5:30
夕食。コックが作ってくれる料理はおいしいんですが
y-heyは超が付く程の和食好きのため、だんだん現地食に飽き、食欲もなくなってきました。
コックさんごめんなさい。(でも高山病のせいもあるかも?)
夕食時に次の日(4日目)のサミットプッシュ(頂上への登山)は何時からスタートするかを
ガイドやドイツ人の仲間と話し合いました。
せっかくならGilman’s Point(5,681m)で御来光を見たい!思ったので
それに間に合うように深夜0時集合、ビスケットや紅茶で補給した後、AM 1時出発ということになりました。
出発が早い時間ですので夕食後はすぐに寝床につきます。
夕焼けが綺麗です。
ではおやすみなさい・・・
PM 11:00
しかーし!さすが高度4,700m!
高山病にかかりつつあるせいか全く寝れません!ヒャッホー!
こんなナチュラルハイな状態で頂上は目指せるのでしょうか?(目指すんですけどね)
~頂上サミットプッシュの後編へ続きます~
現在募集中のツアーは↓です!
みなさんとお会いできるのを楽しみにしています(^o^)