登山ガイド 二次試験 危急時対応技術義務講習会で学んだ10のこと
いつも当ブログを読んでいただきありがとうございます。
アウトドアライフクリエイターのy-heyです。
2019年3月16(土)〜17日(日)の1泊2日で日本山岳ガイド協会が主催する登山ガイド 危急時対応技術 義務講習会を受講してきました。
この講習は登山ガイドステージIを取得するための二次試験(無雪期ルートガイディング検定、安全管理技術検定、危急時対応技術講習会)の内の一つです。
この講習を受け、大変多くのことを学んだため、気づいたことを備忘録としてまとめます。
開催場所
講習場所は滋賀県 比良山系で琵琶湖の近く、「比良山岳センター」で行われました。
施設の近くからは琵琶湖を一望できる場所もありました。
寝室はこのように2段ベッドになっています。
参加者
参加者:27名(男性 24名、女性 3名)
講師:3名
かなりの人数でした。2018年10月に受けた上高地での資格試験対応講習会や無雪期ルートガイディング講習、安全管理技術基礎 検定でお会いした方々と再会できて嬉しかったです!
y-hey
講習内容
講習内容については、↑のビッチリ埋まったスケジュールの通りです。
1日目は会議室にて講習、2日目は雨の降る中、実技を行いました。
ここからは学んだことを書いていきます。
2日間であまりに多くのことを駆け足で学んだため、家に帰った後、何度か見直して学習し直し、自分がガイドとして顧客の危急時に対応できるように備えておく必要があります。
y-hey
講習1日目
朝8時50分集合のため、名古屋を6時前に出発し、伊勢湾岸自動車道、新名神高速道路を乗り継いで講習場所である比良山岳センターへ。
途中で湖西道路を走っていたら琵琶湖が非常に美しく見える場所があったため、思わず車を停めてシャッターを切ってしまいました。
講義1:準備から始まる安全管理。行動中の管理
このテキストの最初に記載されている一文はガイドとして絶対必要なことと認識しました。
ガイドにとって最も留意すべきは「安全配慮義務」を自覚することである。「安全配慮義務」とは、ガイドにとってもっとも重要な顧客に対するサービスである。
また、ガイドミスの4つの要因として挙げられているのが以下です。
- データ不足 (知識、経験、情報収集不足、間違った情報の収集)
- 認知→判断→行動 フローのミス (判断に必要なポイントの見落としや錯覚)
- 行動(運動)のエラー (脳のイメージと、実際の運動のミスマッチ)
- その他 (不確実性に起因)
このようなミスを防ぐため、ガイドする山域の特性(気象、地形、生態系、登山道、残雪の有無、アプローチ)や設定ルートのガイドシミュレーション、参加者の情報を事前に把握し、行動中には顧客の様子をこまめにチェックし、声掛けを行うことが重要と感じました。
講義2:危急時の初期対応
事故がおきた場合の重要なこととして、「ガイドであるあなたが、冷静であること」
パニックになってしまったら、お客さんは不安ですよね。
y-hey
その後は↓のフローチャートに基づいて冷静に行動します。
講義3:危険の予知と認知、KYTトレーニング
この講義では実際の登山道の写真を見て、どのようなところに危険が潜んでいるか?そしてそのリスクを少なくするためにガイドとして何をすべきか?
ということをグループディスカッション形式で行われました。
講義4:ガイドが知っておきたい心理学
人間には
- 直感的に判断する「システム1」
- 論理的に判断する「システム2」
があるが、常にシステム1が優位に働きがち。
システム1の例として、先入観、サンクコスト、楽観主義バイアス、心理的リアクタンス 等があります。
講義5:気象・天候判断・気象遭難
大前提として、「ガイドは気象遭難を起こしてはならない」ということが挙げられます。
なぜなら気象は天気図等から予測できるからです。
ここでは2009年7月のトムラウシ山遭難、1989年10月の立山真砂岳遭難の事例から学びました。
講義6:登山における運動生理学
METs(運動強度)の指標の場合、登山は(無雪期縦走で)7。ハイキングは6。
20歳を100とした場合の60代の体力は
- 柔軟性 50%
- 脚筋力 50%
- 平衡性 30%
特に平衡性(バランス能力)が加齢により衰えることが分かります。
そのため、高齢者の顧客に対しては難しくないと思える段差や坂での転倒の可能性があるので十分注意が必要です。
講義7:リスクマネジメント実習
自分がガイドする時に、もし○○な状況(例:急な雷雨)だったら
- どのような展開が考えられるか?
- 想定トラブルに対応するためにガイドとしてどのようなことができるか?
等をグループディスカッション形式で話し合い、発表しました。
講義8:ガイドの法的責任
登山ガイドは顧客の命を預かり、「安全管理義務」が発生する責任が重い仕事。
万が一、ガイドの判断ミスによる事故が起きた場合、ガイドは業務上過失罪に問われる可能性がある。
実技1:応急手当標準実技
三角巾を使い、
- 頭部への応急手当
- 捻挫の応急手当
包帯を使い
- 腕への応急手当
を学びました。
夕食
12時間近く講義や実技でヘロヘロになった後は、夕食タイム!
いつもはお弁当らしいのですが、今回はなぜか鍋!
希望者にはアルコールもあり(別途500円徴収)、和気あいあいと登山ガイド同期の方々とお話させて頂きました。
y-hey
講習2日目
実技2:ロールプレイングによるシミュレーション
2日目は時折雨の降る中、ロールプレイングによるシミュレーションを行いました。
3人1組でグループになり、
- 登山ガイド
- 傷病者
- クライアント
とそれぞれの役割に分かれて、事故が起こった場合の対応方法を実際にやりながら学びました。
ガイド役の人に手当てを受けるy-hey。
落石により頭頂部、右前腕部に裂傷を受傷したという設定です。
傷病者の演技力が試されます。マスクをしているのは花粉症のせいです。
ツェルト設営
最後はツェルト設営の実習でした。
これは安全管理技術基礎 検定の対策でしっかりとやったのでバッチリ張れました。
周りにはツェルトだらけでまさに「ツェルト村」ができていました(笑)
まとめ
駆け足で駆け抜けた1泊2日の危急時対応技術 義務講習会でした。
そして外で実習を行う2日目は雨だったので寒かったですが、実際に山で事故が起こる場合はそのような天気の悪い状況が多いため
勉強になりました。
↑の写真は実習が終わって帰っている途中、大津SAから撮った琵琶湖です。実習が終わったら晴れるというあるあるですね。
講師の先生方、一緒に学んだ同期の皆さん、ありがとうございました。
今回の危急時対応技術を学び、
- 事故の時、登山ガイドとして冷静に対処できるように何度も反復して練習しておく
- そのような事故を未然に防ぐための準備や顧客へのケア
が重要と考えますので、日々研鑽ししっかりと対応できるように日々の練習を忘れないようにしたいと思います。
この講習を受けたため、登山ガイドステージ Ⅰ の二次試験(無雪期ルートガイディング検定、安全管理技術検定、危急時対応技術講習会)をすべて終えることができました。
あとは安全管理技術検定の合否通知が来るのを待つのみです・・・ ドキドキ。
この記事を読んで危急時対応の参考になれば幸いです。
最後までお読み頂き本当にありがとうございました。
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みなさんとお会いできるのを楽しみにしています(^o^)