【八ヶ岳縦走 登山レポ 前編】もののけの森から阿弥陀岳・中岳・赤岳へ
山梨県と長野県にまたがる山塊である八ヶ岳。夏沢峠から以北を北八ヶ岳、以南を南八ヶ岳と呼ばれます。
八ヶ岳という名前の山は無いが、通常は南八ヶ岳の主峰である赤岳のことを指すことが多いです。
八ヶ岳の名前の由来は八百万(やおよろず)と同じように山々が多く連なる様子からとも、
山麓から見える八つの峰(赤岳・横岳・硫黄岳・阿弥陀岳・峰の松目(or 天狗岳)・権現岳・編笠山・西岳)の総称とも言われています。
今回は2泊3日で阿弥陀岳・中岳・赤岳・横岳・硫黄岳・箕冠山(みかぶりやま)、根石岳、天狗岳
の八座を縦走してきたので、登山情報や登山記をお伝えします!
八ヶ岳縦走 登山情報
山名/標高:
1:阿弥陀岳(2,805m)
2:中岳(2,705m)
3:赤岳(2,899m)
4:横岳(2,829m)
5:硫黄岳(2,760m)
6:箕冠山(みかぶりやま、2,580m0
7:根石岳(2,603m)
8:天狗岳(2,645m)
場所:長野県南佐久郡・茅野市・諏訪郡、山梨県北杜市
八ヶ岳 縦走のコース
- 硫黄岳・横岳・赤岳 縦走コース 人気コース
登山口の美濃戸口から北沢コースで赤岳鉱泉まで上がり、
硫黄岳、横岳、赤岳と1泊2日で縦走するルート。
赤岳に登る時に天気が良ければ富士山を眺めながら登れる。2日目の行動時間が長いので、赤岳鉱泉で2泊すると帰りが楽になる。コースタイム(往復): 1日目 3時間、 2日目 9時間
登山口からの累積標高差:上り 1,683m 下り 1,685m
- 南八ヶ岳+天狗岳縦走(阿弥陀岳・中岳・赤岳・横岳・硫黄岳・箕冠山・根石岳・天狗岳) 登り利用 下り利用
登山口の美濃戸口から南沢コースで行者小屋まで上がり、阿弥陀岳から天狗岳まで2泊3日で縦走するルート。コースタイム(往復): 1日目 5時間45分、 2日目 7時間、 3日目 3時間50分
登山口からの累積標高差:上り 2,524m 下り 2,520m
所要時間
南八ヶ岳&天狗岳縦走コース: 17時間(休憩含まず、往復の場合)
1日目:美濃戸山荘(2時間30分)〜 行者小屋(1時間)〜 中岳のコル(25分)〜 阿弥陀岳 (20分)〜 中岳のコル(1時間10分)〜 赤岳(20分)〜 赤岳天望荘(泊)
2日目:赤岳天望荘(50分)〜 三叉峰(10分)〜 奥ノ院(30分)〜 硫黄岳山荘(20分)〜 硫黄岳(40分)〜 夏沢峠(30分)〜 箕冠山(20分)〜 根石岳(40分)〜 東天狗(20分)〜 西天狗(20分)〜 東天狗(40分)〜 根石岳(10分)〜 根石岳山荘
3日目:根石岳山荘(5分)〜 箕冠山(30分)〜 オーレン小屋(1時間)〜 赤岩の頭(1時間20分)〜 赤岳鉱泉(1時間)〜 堰提広場(30分)〜 美濃戸山荘
下図の紫線沿いのルートです。
※山と高原地図のコースタイムを記載
八ヶ岳の難易度
南八ヶ岳+天狗岳 縦走コース:★★★★☆
通常は赤岳・横岳・硫黄岳の3座を登るのが一般的ですが、阿弥陀岳と天狗岳を加えて北八ヶ岳にも少し足を踏み入れるコース。
累積標高差が2,500mあるため、体力が必要です。
また、八ヶ岳は3,000m級の山なので以下の点に注意して下さい。
- 高山病対策のためゆっくり登る
- 防寒着の携帯
- 横岳周辺は短いながらも岩場、鎖場、ナイフリッジ、カニのヨコバイがあるため滑落に注意
- 阿弥陀岳周辺の岩場はガレているため落石を起こさないよう注意
おすすめ度:★★★★★
八ヶ岳の山頂からは、天気が良いと北・中央・南アルプス・富士山の360°の大展望を眺めることができます。
横岳山頂から見える赤岳・中岳・阿弥陀岳。
中央奥には南アルプス、左側から北岳、アサヨ峰、甲斐駒ヶ岳、仙丈ヶ岳が見えます。
右奥には中央アルプス、左側から越百山、南駒ヶ岳、空木岳、東川岳、熊沢岳、檜尾岳、伊那前岳、木曽駒ヶ岳。
西を見ると御嶽山・乗鞍岳・北アルプス 穂高連峰・大キレット・槍ヶ岳等も一望できます。
赤岳鉱泉、オーレン小屋等、お風呂も付いていて人気の小屋がある南八ヶ岳。
初心者の場合は美濃戸登山口から赤岳鉱泉で1泊して硫黄岳
もしくは桜平登山口からオーレン小屋で1泊して硫黄岳か天狗岳に登るのがオススメです。
南八ヶ岳 登山口へのアクセス
手前の登山口である美濃戸口までは茅野駅からバスが出ています。また各都市から高速バスも出ています。
奥の登山口である美濃戸には赤岳山荘の駐車場があり、マイカーで行けて移動時間を1時間短縮できますが
未舗装路で路上にコブがあるため、車高の低い乗用車だとバンパーを擦るかもしれません・・・
アクセス拠点である美濃戸については↓の記事で紹介しています。
▶八ヶ岳の登山口 美濃戸 赤岳山荘へのアクセスと駐車場の紹介
登山データ
日時
2020年9月11日(金)〜13日(日)
メンバー:
上田洋平(y-hey):写真も撮れる登山ガイド
このブログ「登っちゃえば?」を書いている「写真も撮れる登山ガイド」。
日本山岳ガイド協会 認定登山ガイドステージ I かながわ山岳ガイド協会所属
山登り歴は15年以上、一眼レフ歴は10年以上でキリマンジャロ(5,895m)登頂、アコンカグア5,000mまで到達した時も一眼レフカメラはしっかりと持って登っている。
ドMなので山小屋泊なのにカメラ機材入れると25kgになる荷物を背負って山に登ることに喜びを感じている。
Uさん
y-heyの影響で2015年から登山にハマり、
y-heyと一緒に北アルプスの焼岳、燕岳・大天井岳・常念岳のパノラマ銀座縦走や南アルプス白峰三山縦走、
北アルプス蝶ヶ岳、表銀座縦走+双六岳、奥穂高岳等に登っている。
軽量化が得意。今回もテント泊装備を30Lのザック(山と道 MINI)に詰め込むことに成功。
ここからは実際に登った時の八ヶ岳縦走登山記をお伝えしますので、あなたが登山される際の参考にして下さい!
y-hey
南八ヶ岳+天狗岳縦走 登山記 プロローグ
八ヶ岳。それは因縁の山であった。
過去3年間、我々は八ヶ岳へ行くことを様々な理由により妨げられてきたからだ。
2017年9月:台風接近のため中止
2018年9月:7月に予定していた北アルプス山行が天候不良のため9月に変更されたため、元々計画していた八ヶ岳登山は中止
2019年9月:天候不良のため中止
2020年9月:天気が微妙な日もあるが、晴れの日もあるため登山決行
毎年八ヶ岳へ行こうとしても行けず、涙を飲んできたのだが(「毎年台風が来る9月に計画すんなよ」、というツッコミは無しでお願いします)
2020年9月、ついに3年越しの八ヶ岳登山実現の時が来たのだった・・・
y-heyは以前に硫黄岳・横岳・赤岳・天狗岳に登っていたため、今回は1泊2日で阿弥陀岳にも登りたいと考えていたが
八ヶ岳初めてである相棒のUさんから天狗岳まで足を伸ばすアグレッシブなプランが提案されたため、そのルートで行くことにしたのだった。
南八ヶ岳+天狗岳縦走 登山記 1日目 2020年9月11日(金)
八ヶ岳PAとメガネ
関東のy-heyと関西のUさんは中央道八ヶ岳パーキングエリアで集合しました。
y-heyは自家用車で朝4時発、Uさんは深夜発の高速バスで移動。
集合時間より少し遅れてy-heyは八ヶ岳PAに到着し、Uさんと合流。
その後、パーキングエリアのトイレでコンタクトでも付けようと思って入ったら洗面所にメガネの忘れ物が!
ヤレヤレ、こんなパーキングエリアのトイレにメガネを忘れたら、二度と取りに戻ってこれねーぜ!?
と特攻の拓風なセリフを頭の中でつぶやいていたら、
どうもそのメガネの形に見覚えがある!
そう、我々はそのメガネを知っている!
さっき集合した時、Uさんはメガネをかけていなかったため、コンタクトにしていたはず!
まさか!
慌てて洗面所のあったメガネを取り、先に車に乗っていたUさんに見せると、ビンゴ!
「あっぶねぇ〜!y-hey君ファインプレーだわ!」
とお褒めの言葉を頂きました(笑)
マジであぶないところだった・・・
美濃戸
ホッとしたところで、登山口である美濃戸まで車で移動。
美濃戸口 〜 美濃戸 間は未舗装路でゴツゴツしているので、車高の低いミニバンだと、バンパーを擦るかもしれません。
ゴリッ
うっ、今少し擦ったような・・・
最徐行で行こう・・・
ゴリッ
気、気のせいに違いない・・・
ゴリッ
(擦ったのは気のせいだ、と自分に言い聞かせつつ)
さぁー美濃戸についたぞー。
y-hey
駐車料金は1日1000円。
今回は3日間駐めるため、3000円を山荘のおばちゃんに支払います。
準備をして、出発!
南沢ルート
今回は南側にある阿弥陀岳に最初に登るため、美濃戸からは南沢ルートを選択しました。
朝日の木漏れ日が作り出す幻想的な森の景色に癒やされながら進みます。
まさにもののけ姫に出てくる森のようです。こだまがいそう・・・
何度か沢の上にかかる橋を渡り、広い河原に出ると、行者小屋はすぐそばです。
行者小屋 〜 中岳のコル
行者小屋に到着したので休憩。
2020年はコロナのため小屋は閉まっていましたが、トイレは使用可能でした。
天気が良かったため、横岳、赤岳、阿弥陀岳が綺麗に見えます。
赤岳、中岳を見ながら出発。
横岳、
赤岳、
中岳のコルと阿弥陀岳。
中岳のコル直下のザレ場は足元が脆い箇所があるので滑らないよう注意が必要です。
中岳のコルで昼食を摂った後、阿弥陀岳を目指します。
1座目 阿弥陀岳 2,805m
阿弥陀岳山頂へは若干、岩登り要素がある道。
ハシゴ、鎖場もあります。
この辺りの足場の岩は細かく、下へ落石を落としやすいので注意が必要です。
阿弥陀岳山頂に到着。 赤岳がうっすら見えます。
2座目 中岳 2,705m
阿弥陀岳に到着した後は、中岳、そして八ヶ岳最高峰の赤岳を目指します。
阿弥陀岳から下っていく途中で霧が晴れ、中岳・赤岳が姿を見せてくれました。
右側には権現岳へ続く稜線とキレットが見える。こちら側からも一度縦走してみたいです。
ハシゴや鎖場を越え、
中岳山頂に到着。
中岳という名が付く山はたくさんありますが、周りにすごい山に囲まれているばかりに
「通過点」のような扱いを受けていて不憫に感じます・・・ この中岳は2705mもあるのに。
3座目 赤岳 2,899m
中岳を過ぎて赤岳直下の登りになると岩山感が増してくる。
3点支持でしっかりと登っていく。霧も出ているせいか高度感はまったく無かった。
この登りを超えれば、
赤岳山頂に到着!
赤岳天望荘へ
霧で展望が無いため、すぐに山小屋に向かって下山を開始。
赤岳直下にある赤岳頂上山荘はコロナのため2020年は休業。
今日の宿は下に見える赤岳天望荘。
赤岳天望荘については別記事にて詳しく解説してます。
赤岳天望荘へ到着。
部屋で荷物を置いて、しっぽりとビールをいただく。
コロナに負けずに応援しようという意味を込めてコロナビールを選択。
夕食は豪華にチキンレッグ。
前に座った方から「高山病で食欲が無いから食べて下さい」と言われたため、もれなく2本食べることに。
食前に飲んだビールと一緒にお菓子をボリボリ食べていたため、かなり満腹。
食堂にはコタツもあったため、食後にヌクヌクしながら寝る時間に・・・
次の日は横岳・硫黄岳・箕冠山(みかぶりやま)、根石岳、天狗岳を縦走します!
〜次回へ続く〜
現在募集中のツアーは↓です!
みなさんとお会いできるのを楽しみにしています(^o^)