山小屋へ初めて泊まる人へ、登山ガイドが伝えたい山小屋 宿泊のルールとマナー
こんにちは!写真も撮れる登山ガイドの上田洋平(y-hey)です。
初めて山小屋に泊まる時、緊張しますよね。
どんな流れで宿泊するの?守ったほうが良いルールやマナーは?なんかいろいろ考えていたら寝れなくなってきた!
という、これから山小屋泊デビューする方のために、山小屋に宿泊する時の流れやルール、マナーを
実際に山小屋に宿泊する場合の時系列でまとめてみました。
この記事を読んで山小屋泊をシミュレーションし、華麗な山小屋デビューを飾って下さい!
y-hey
山小屋 宿泊前
山小屋の予約は必須
山小屋は山の中のライフラインとも言えるべき場所で、宿泊できないと登山者が危険になるため、
以前は予約なしでどれだけ多くてもギュウギュウで宿泊できる山小屋がほとんどでしたが、
最近は予約が必須です。
特に富士山や北アルプスの人気のあるルート上にある山小屋は週末は満室のことが多いので
基本的には事前に予約をしておきましょう。
泊まりたい山小屋にオンライン予約システムがある場合はそこから予約するか、電話で
- 宿泊日
- 宿泊人数
- 食事の有無(素泊まり、2食付き(夕食、朝食)、3食付き(夕食、朝食、翌日の昼食弁当))
を伝え、料金を確認しておきましょう。
そして山小屋へ泊まる登山日を迎えます。
山小屋 宿泊日(1日目)
早着、早出が基本
日本の山の天気は午後になると上昇気流により雲が発生して崩れることが多い理由から、
15時までには到着するようにしましょう。
また、キャンセルする場合や到着が遅くなる場合は山小屋の方に遭難していないか心配される可能性があるため
必ず山小屋へ連絡を入れるようにしましょう。
山小屋に到着!入る前に確認すること
山小屋に入る前に、以下をチェックして下さい。
- 足元が砂まみれになっていませんか?
→ 足元の砂は払ってから入りましょう。砂払い用のブラシが玄関に置いてある山小屋もあります。 - 雨で濡れたレインウェア、ゲイター、ザックカバーを装着していませんか?
→ 濡れたまま入るのはマナー違反なので外で脱いで、受付後に乾燥室へ干しましょう。 - アイゼン(雪山用の靴に付ける爪)を履いていませんか?
→ アイゼンは外して雪を払いましょう。
山小屋へ到着後はすぐに受付を
山小屋に到着したら、まずすべきことは受付です。
受付スペースに宿泊申込用紙があるため、それに住所・氏名等を記入して受付で手続きをします。
宿泊料金は現金先払いが基本
山の中ではいつもニコニコ現金払いが基本です。
最近では北アルプスの穂高岳山荘のように、クレジットカード利用可能な山小屋も出てきましたが、
電力の供給が不安定な山小屋でクレジットカードが使えるのはまれです。
お札は雨等で濡れないようにジップロックに入れておくと便利ですよ。
受付で宿泊の申込みをする時に宿泊費を先払いで支払います。
着替えは「次の日に行動するウェア」に着替えておく
受付を済ませるとスタッフの方から山小屋のルールの説明、寝室の場所、食事の時間の説明がありますので、それを一通り聞いて寝室へ向かいます。
寝室へ着いたら自分の寝る場所(番号が振られています)を確認します。
寝室は↑の写真の通り自分の荷物を置く場所はありませんので、枕元に持ち込む荷物は
- ヘッドライト
- スマホ
- 耳栓
くらいです。
もし着替えをする場合は山小屋に着いた直後、汗冷えしないうちにしてしまいましょう。更衣室がある山小屋もあります。
汗をかいて気持ち悪いと思うので、携帯用ボディシートで体を拭くとさっぱりします。
ちなみに山小屋ではパジャマには着替えません。軽量化、そして起きてそのまま出発できるように次の日に行動するウェアに着替えておきます。
y-hey
山小屋の夜は冷えるので、寒くなってきたら防寒着(ダウンジャケット等)を上に羽織ると良いです。
荷物(ザック)は廊下に置いて、すぐに出発できるように整頓
基本的に山は午後になると天気が崩れることが多いため、山の朝は早いですが
御来光を見たい等の理由で周りの方よりさらに早く出発するようなこともあるかと思います。
そんな時にガサゴソ音を立てて周りに迷惑にならないように、廊下にザックを置いて置き、そこで整理整頓します。
寝室内の布団の上で荷物をガサゴソしていると周りの人を起こしてしまうためです。
山小屋の食事は17時くらいから
山小屋や季節によって異なりますが、17時くらいから夕食の時間です。
車が入って来れないため、食材は歩荷(ぼっか、荷物を背負って荷上げすること)やヘリで運ばれてきますが
登山で疲れていることもあってか、料理は美味しいです。貴重な食材をありがたく頂きましょう。
カレーやハンバーグ率は高いです。
トイレはバイオトイレが多い
山小屋のトイレは昔はボットントイレだけだったのですが、
最近はバイオトイレといって、微生物が排泄物を分解してくれるシステムを使っているところが増えてきました。
「使用したトイレットペーパーはトイレ個室内のゴミ箱に捨てて下さい」
等の指示が書いてありますので(もしくは受付で宿泊申込みをした時に説明があります)、その指示に従って下さい。
ちなみに夜にトイレに行く時は真っ暗なのでヘッドライトが必要です。
y-hey
ゴミはすべて持ち帰る
山では「とっていいのは写真だけ。残していいのは思い出だけ」と言われています。
山の中で出たゴミはすべて持ち帰りましょう。
山小屋であっても同様です。
なぜならゴミを捨てたら誰かがそれを麓まで下ろさねばならないためです。歩荷の人かヘリで。
山小屋によっては、山小屋で購入した品物から出たゴミのみ回収してくれるところもありますが
基本的には「すべて持ち帰る」と考えておいて下さい。
基本的に山小屋に風呂は無し
鉱泉(地中から湧出する泉水で、 多量の固形物質又はガス状物質若しくは特殊な物質を含むか、或いは泉温が泉源周囲の平均気温より常に著しく高温を有するもの)
か豊富な沢水とエネルギーが得られる山小屋以外、基本的に山小屋に風呂はありません。
ですので着替えの時にボディシートでフキフキしておくと良いです。
山の就寝は早い。出発時の荷物の整理は消灯前に済ます
山小屋の消灯は20:00か遅くとも21:00です。
夕食後は、消灯前に次の日の朝に起きてからゴソゴソしなくても良いように、すぐに出発できる準備をしておきます。
時間があって元気な時は談話室で休憩も
夕食を食べて荷物整理も終わり、次の日はサッと出発できるよ!
という状態になり、まだ元気があれば談話室やフリースペース行って休憩できます。
ここには山の雑誌等が置いてあって読んでいて楽しいです。
コースマップを見ながら「明日はこのルートで行くからね」とか「今度はこの山に行ってみない?」なんて言いながらワイワイ楽しみましょう。
思わぬ山仲間との出会いがあるかも?
洗面所がある山小屋でも石鹸や歯磨き粉は基本的に不可
近くに沢がある山小屋や、雨水や雪解け水を利用している山小屋には洗面所(水場)があります。(富士山は沢が無いのでアルコール消毒のみ)
貴重な水ですので無駄使いしないようにしましょう。
夜寝る前に歯磨きをすると思いますが、ほとんどの山小屋では下水処理の設備が整っていませんので(トイレはバイオトイレ)石鹸や歯磨き粉は使用不可です。
歯ブラシだけで歯磨きしましょう。
寝室へ行く時はヘッドライトの光量は落とす
さて歯磨きも終わって寝床に行く前にちょっと待って下さい!
ヘッドライトの光量は最低レベル、もしくは赤い光になっていますか?
消灯後は真っ暗ですのでヘッドライトは必須ですが、間違っても最大光量のヘッドライトで寝ている人の顔を照らさないように・・・ 軽くキレられると思います。
首にかける、角度を変える、光量を落とす、等を行い、眩しくないようにしましょう。
ヘッドライトの機種によっては赤い光も出せるようになっています。
これなら暗闇でも周りの人は眩しくないですので、夜中にトイレに行く時等は積極的に活用しましょう。
僕が使っているブラックダイヤモンドのスポットは赤い光を出せます。
寝る時は次の日に行動する服で
着替えのところでも書きましたが、寝る時は次の日に行動する服で寝るとサッと出発できます。
寝床にはヘッドライト、スマホ、耳栓を持っていくと良いでしょう。
なぜ耳栓が必要なのか?
山小屋は基本的には相部屋で、中にはいびきが大きい方もいます。
ただでさえ疲れているのに、寝れないと辛いですよね?
ですので耳栓、そして少しの明かりでも気になる人はアイマスクを持っていくことをオススメします。
山小屋 出発日(2日目)
山の朝は早い
基本的に山は午後になると天気が崩れることが多いため、山の朝は早いです。
大体3時〜4時台で起きて準備をし、5〜6時の間には出発します。
7時になったら山小屋には誰もいないかも(笑)
ビニール袋はNG!スタッフバッグかジップロックを
御来光を見たい等の理由で周りの方よりさらに早く出発するようなこともあるかと思います。
そんな早朝に荷物整理をしていると、ビニール袋だとカサカサ音がして結構うるさいです。
登山道具や着替えの整理整頓には、あまり音がしないスタッフバッグを使いましょう。
濡らしたくない道具や服は防水のスタッフバッグへ。
食材はジップロックに入れておくと便利です。ゴミが出ないように包装は家で捨ててくるとベター。
ジップロックはそのままゴミ袋にもできるので重宝します。
朝食はお弁当へ変更可能
朝食は5時くらいから食べれますが、もっと早く出発したい場合はお弁当にすることもできます。
お弁当は山小屋で宿泊する日の夕食後にもらうことができます。
色んな山小屋のお弁当を食べ比べしてみるのも楽しいですね!
y-hey
山小屋泊 一般的なタイムスケジュール
参考までに、山小屋に泊まるときのおおよそのタイムスケジュールを書いておきます。
※御来光を山頂で見る富士登山の場合はこのスケジュールとは異なります。
1日目
〜15:00 到着
15:00 〜 17:00 休憩、着替え、荷物整理
17:00 〜 18:00 夕食
18:00 〜 20:00 休憩、
20:00 〜 21:00 消灯、就寝
2日目
3:00 〜 5:00 起床、準備
5:00 〜 6:00 朝食、出発
まとめ
今回は山小屋泊デビューする方のために、山小屋に宿泊する時の流れやルール、マナーを
実際に山小屋に宿泊する場合の時系列でまとめてみましたが、いかがでしたでしょうか?
今回紹介した内容をいきなり全部完璧にやるのは難しいので、少しづつ慣れていって下さい!
y-hey
この記事を読んであなたの登山ライフが豊かになれば幸いです。
最後までお読み頂き本当にありがとうございました。
現在募集中のツアーは↓です!
みなさんとお会いできるのを楽しみにしています(^o^)